2010年7月7日水曜日

由紀枝の初キッス  -2-


ついにやってきました 日曜日

お化粧するにも三角巾があると大変

なので 鏡の前では三角巾を外します





母親からも おばかさんと言われましたが もう形振り気にしていません
朝は5時頃からおきて 一人で騒いでいました

前日も1時頃まで 母親と一緒に着ていく物を選んで貰い
いい迷惑だったと思います
今までの母親でしたら 自分の事だから自分で決めなさい
と 突き放されていたと思います
しかし 今回ばかりは 私の一生のお願いと頼みました
最初は渋った母親でしたが 私の熱意に折れてくれました

8時頃にわんちゃんの前に行くと もう相手を待っている人がいます
(へぇー こんなに早くから 待っているんだー 大変だなー)
自分の事を棚に上げて どんな人が来るんだろうと観察していました

9時近くなると だんだんと緊張してきて喉がカラカラ状態です
足元はぶるぶると震えてきました

大丈夫かな ちゃんとお話できるかしら
そんな事ばかり考えていました

9時5分前です
来ました 憧れの君が
私の心臓は一気に爆発しました

その後は覚えていなくて 映画館に行ってからも記憶は途切れ途切れ

映画館を出て 彼が
「由紀枝さん どうしたの 大丈夫?」
「何が?」
「なんか 話が伝わっているのか心配で、、、まだ痛むのかな?」

私 このときに目が覚め
「ごめんなさい 貴方にお逢いして 自分が何処かに行っちゃったの」
そうしたら 彼ったら 大きな声で笑い出し
「由紀枝さん 僕だって普通の男だよ ほら手だってごついだろ
 白馬の騎士じゃないよ そんなに格好よくないさ」
もう 一生懸命私の緊張を解してくれました

少しは自分を取り戻し お昼を食べた後は
公園でジュースを飲みながら 一杯お話をしました

彼は優しくて 私の話を一言も聞き漏らさず 笑ったりしてくれました

夕日も沈む頃になると 彼が突然
「由紀枝さん 今日は楽しかった ありがとう
 実は僕は来月 国に戻らなければいけないんだ
 本当は もっと由紀枝さんとお付き合いをしたかった
 由紀枝さんが 以前から僕の事を見ていたのは 
 貴方の友人から聞いていました ごめんね」
私 この時にも頭の中は真っ白状態です

その後は何を言ったか なにも覚えていません

気が付いたときは 彼の胸の中で 泣いていました

「由紀枝さん ありがとう このキスは忘れないよ
 一生 大切な思い出として しまっておく ありがとう」

彼が大学を中退した後 彼の友人が私に手紙を持ってきました
「由紀枝さん お元気ですか
、、、、、、、、、、、、、、、、
、、、、、、、、、、、、、、、、
 本当のことを言いますと あのキス ファーストキスです」

あーあ 憧れの君からお手紙
見なければ良かったなー



由紀枝の初キッスでした





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